それにしてもコロナで最近は、どの角を曲がっても回遊魚のように自転車でぐるぐるしている子ども達に遭遇します。ぐるぐる、ぐるぐる、人の本能なんでしょうか。以前はゴーストタウンのようでしたがコロナで休校になって今は住宅地に人の気配がします。
フィンランドのオーガニックティーを飲んでいます。紅茶、緑茶、ブレンドティー…。なぜかと言うと、ネットショップ販売用に仕入れたのですが、システムが色々と変わって対応が遅れているうちに、全て賞味期限切れになったので自分で飲んでいるのです。でも、すごく美味しくって。もう他の紅茶は飲めそうにありません。リンゴンベリーの実と緑茶、オスロという名のスモーキーなコクのあるストレートティ、シナモンブレンド等々。

コーヒーも最近は、2つのお店のものばかり。一つは、富雄でお世話になっているバイオリン工房の方のおススメで、大和西大寺のCAUDA。スウェーデンから帰ってきて一度もおいしいコーヒーを飲んだことがないと思っていました(一度お土産でもらったノルウェーコーヒーはおいしかったです)。今では、日本で、このお店よりおいしいコーヒーは飲んだことがありません。粉で買ってきてプレスで飲んでいます。もう一つは、オアシス珈琲。コーヒー豆を水洗いしていて(汚れや薄皮まで取る)、香り、コク、ともに少し落ちるのですが、スッキリ、あっさりして、飲みやすいのです。変な味がしない、というのでしょうか。実家がずっと昔からこのコーヒーなので、私には飲みなれた普段の味という感じです。
時間もあってのんびり、お茶とコーヒーの話を書ていますが、今日は、Wesslén の話をしたいと思います。コーヒー片手にゆっくり読んでくださいね。
マッツ・ヴェスレン Matts Wesslén 1812-1878
Wesslénは、ヴェスレンと読みます。スウェーデン語のWとVは区別がないそうです。古い地名や人名では(例えば、ヴァ―サ王はWasa/Vasa)、WはVの音です。入り江を意味する「vik ヴィーク」も、古い地名の固有名詞では今も「wik」と表記されています。
ヴェスレンに話を戻すと、スウェーデン、ウップランド地方のオルガン奏者でクロッカレでした(町の教会の時計台の管理者です)。クロッカレと呼ばれる職業の人は大抵、教会の音楽を担当しておりオルガンを弾いたり聖歌を指導したりもします。ヴェスレンもそうでした。彼の住む町から25kmほど離れたところに、伝説的なニッケルハルパ奏者ビス・カレ(Byss-calle 1783-1847)が住んでいました。ヴェスレンは地域の伝統音楽に興味があり、ビス・カレの評判ももちろん知っていました。ビス・カレやウップランド地方の伝統曲を採譜し、自身もシルベルバスハルパ(楽器の説明については以前の記事)を弾いていました。
残念ながら最初に書きため出版用に送った楽譜は火事で消失。その後、記憶を頼りに楽譜を書きなおします。今度は無事に、A.G.Rosenberg(ローセンベリ)の420曲の楽譜集の中に94曲が収められ1879年、出版されました。この楽譜集は、ローセンベリがピアノ曲としてアレンジしたもので、実はこのローセンベリの楽譜は著作フリーでネットでダウンロードできます。
ローセンベリのアレンジが、どれだけヴェスレンの書いたメロディに忠実か、今となっては誰にも分かりません。また、ヴェスレンのどの曲がビス・カレの曲で、どれが地域の作曲者不詳の伝統曲なのかも分かりません。ですが、ビス・カレが弾いていた楽器のチューニングや、ヴェスレンの弾くシルベルバスハルパのチューニング、他から伝わったビス・カレの曲などから、この曲はビス・カレらしい曲だなとか、ヴェスレンが弾くシルベルバスハルパ向きの曲だなとか、ある程度、感じとれる部分があります。
さて、コントラバスハルパやシルベルバスハルパといったニッケルハルパの古いモデルですが、今でも演奏されています。最近は、音楽教育の基礎を積んでベテランへと育つミュージシャンが出てくる中で、楽器を厳密に自身の手で調整し、端正に演奏するミュージシャンが出てきました。ヴェスレンは、こうした端正な演奏をしていのかなと想像が膨らみます。実際に、ヴェスレンの弾くシルベルバスハルパは、とても豊かな響きで巧みに演奏したと言われています。
私のお気に入りCDの紹介です。
Markus Svenssonマルクス・スヴェンソン 2020年リリースのCD「Wesslén」

全曲、シルベルバスハルパとコントラバスハルパによるソロ演奏です。歴史的に掘り下げている、弦楽器の名手、最高にダンサブルなリズム、という3拍子揃った名盤中の名盤で、1曲終わるごとに思わず拍手してしまいました。マルクスは有名なミュージシャンなのに元々ネットでの露出がほとんどなく、ぜひ聞いてほしい1枚です。
他にも、ヴェスレンの曲を収録したCDは色々とあり、ヴェーセンもそうです。
シルベルバスハルパ奏者でニッケルハルパの制作者Thor Pleijelも、ヴェスレンの曲を含むCDを出しました。
Höstpolskan
Thorは楽器制作者でもあり、横浜のダルシクラフトが彼の楽器を販売しています。私が個人レッスンをしている方が2019年トールの楽器を購入したので触らせてもらいました。

ほんの少し小さめのボディで軽く扱いやすいです。メロディ弦は柔らかい音で、共鳴弦がよく鳴るので、全体が柔らかく包まれるような音色です。大きな派手な音ではなくソフトな印象で、ヴェスレンをはじめ1700-1800年代の端正な曲が好みの方に特に合うと思います。写真右が私の楽器、左がThor制作のもの。表面の装飾は普通のニッケルハルパにはなく、トールのオリジナルデザインです。聞くと、今年もThorの楽器を入荷予定だとか。普通はオーダーを取ってから1年ほどかけて制作する楽器なのですが、ダルシクラフトに連絡したら在庫がある、なんてこともあるかもしれません。



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