
ストックホルム在住の友人Lが、近くで小さなステンマ*があるから来る?と言われた。
*ステンマ(stämma):伝統音楽を弾くフェスのようなもの。
とても小さなステンマで、お昼に始まり夕方に終わる(大きいものは、夜通し数日ある)。
ストックホルムの近くと聞いて「自然の豊かな都会の郊外」や学校を借りてするのかな?くらいの想像していた。
行ってびっくり。ヴェンデル(6/2参照)並の田舎だ。
普段利用しているウプトーゲットというローカル電車の終点からテビィ(Täby)へバスに乗り、さらにバスも走っていない外れに、Täby Spelmansgilleという地元の演奏グループが集まる小屋のような建物がある。(その日はLのお父さんが駅から車を出してくれた)
Täby郊外は、ヴェンデル同様、周囲はルーン石碑があったり、バイキング時代以前、水面下だったと思わせる平らな草原。
午前中はウロフ(うちの学校の先生)によるワークショップが行われた。
主催グループのメンバー限定だったけど、友人Lが問い合わせてくれて会費を払ってメンバーにしてもらったのだ。
さて、当日、会長さんMに「はじめまして、今日はありがとう!」と挨拶。
どこかで見た雰囲気の人だ。
でも外国人なんて日本人からしたら、みんなどこかで見たことある風なのかもと思っていた。
ところが、その会長Mが黒いシルクハットのような帽子をかぶって5弦バイオリン(スウェーデンタイプのヴィオラダ・モーレ)を手にした瞬間思い出した!
数年前にHovraで開催された1週間コースで一緒だった人だ。
やはりフォーク(民俗音楽)の世界は狭い。こんなところで再会するとは。
当時、彼はヴェルムランド地方の曲ばかり弾くから、てっきり西側の人かと思っていた。
そして、あまりに上手すぎて、鮮明に覚えている。
再会にびっくりしました。
再会といえば、日本人のSさんカップルにも偶然再会。
そっか、ストックホルム在住だった。こちらも再び、数年ぶりの再会。
さっそくウロフがやってくるとすぐに私とLに気づきシェーナ!(やあ!)とにこやかに。
今日は、ニッケルハルパ、コントラバスハルパ、バイオリンを持ってきていた。
同じ曲でも楽器をあれやこれや持ち替えながら進めていく。
なんか変な感じ。
学校でもウロフはしょっちゅうバイオリンを持ってきていたけど、学校で持って来たバイオリンケースのふたを開けたことはなかった。
そのウロフが「バイオリンで弾いた方が分かりやすい」と言いながらニッケルハルパを置き、すぐにバイオリンに持ちかえるのだ。
タヌキが化けたような不思議なモヤモヤがわいてくる。
北や南に帰っていった友人KやI に教えたくなる。
ワークショップでは曲を教えることが中心。
楽しい雰囲気の中、ウロフも楽しそうでいつもより伸び伸びとしてみえる。
なぜか再び変な感じ。
学校の時のウロフとは違い、かるーい調子で、じゃんじゃん飛ばして進む。
改めて実感した。
学校は終わったのだ。細かいテクニックやニュアンスはもう教えてくれない、自分で気づくしかない。
改めて、いかに貴重な1年だったかと思う。
それでも、こういう短いワークショップでも、バイオリンだと曲に終始することが多いけど、ニッケルハルパの場合は大抵、歴史に触れるのでちょっと面白いかも。時代による楽器の種類。
さらに時代の話から、フランスから来たポロネーズなどフォーク・ミュージックの歴史に触れられる場合が多い。
進むにつれ、リズム感についてはもう少しはつっこんでやってくれた。
そして気になる発言「アメリカとか外国で教えると、リズムが違ってびっくりすることがあるんだよね。日本とかもね!」
スウェーデン国内でさえ、ローカルを離れると雰囲気やリズムが違って来る話を聞くけど、ここでも再び!絶対に「ほら、日本人だから」と言わせない演奏をしようと再び思ったのでした。
リズムの特徴、ハウ・ツー
こういう地方性や独特なリズムを身につける場合、一つの地方(村)または一人のプレーヤーに絞って、特徴を体に入れるがおススメ。
ダーラナ地方だと村が変わると曲調も変わるので、この地方は特に要注意。
この目的の場合、譜面から入ると×です。特徴も独特なリズムも譜面には書いていません。
(音源と譜面のどちらも、状況がそろっていればOK)
伝統的にも耳で世代から世代へ語り継がれていることを思えば、耳で覚えるのが自然。
CDなら、バンドものではなく、アレンジされていないソロまたはデュオを中心に。
その後、他の地方や、他のプレーヤーに移ると違いがはっきりするでしょう。
先日、カイサに言われて気づいたことがある。「ついてくるの上手いよね」と。
言われて思った。
演奏する人は「引っ張るのが上手い」タイプと「ついていくのが上手い」タイプがいると思う。
引っ張るのが上手い人は、すごくきらびやかで派手な演奏が出来る。
ついていくのが上手い人は、一緒に弾く人の息づかい、癖、全体の雰囲気を反射的に感じる。多分、地元ではない外国人だから吸収しようとした姿勢でいるから、ついていくのが得意になったのかも。これからは、自分の声で歌える引っ張るのが上手い人を目指さないといけないのかもしれない。
話を戻し、ワークショップ終了後ウロフと少し話をした。「カイサに見せてもらった、古い新聞のウロフの写真、別人みたいだったよ!でも背は今も昔も高いよね」というと
「そう、生まれたときからこの身長」。いやいや。
さて、ステンマが始まり、アル・スペル(みんなで弾く)で入場行進します。
弾きたい人は誰でも参加できる。(ふと後ろをみるとウロフも混ざっていた)
後はあちこちで人が集まっては演奏。ミニ簡易ステージでは30分おきにいろんな人が演奏。
ウロフも飛び入りで演奏だ。ステージでバイオリンを弾く姿は見たことないので新鮮(写真右上)。
新作ソロCDの宣伝(5/9参照)をかねています。
ミニ・ステンマなので夕方にはおしまい。
それから友人Lとその友人Hと3人でTäbyの教会まで歩いた。
ストックホルムは南北で分けられ、ガムラ・スタン(Gamla stan)と呼ぶ旧市街以北がウップランド地方。以南はセーデルマンランド地方に分かれている。
それでいうとTäbyはウップランド地方だ。この地方の教会が独特だと書いたことがあるが、Täbyの教会も同タイプ同時代のものらしい。
行くと…夕方で閉まるみたい。入れなかった。
中は鮮やかな壁画だそう。骸骨とチェスをしている絵などもあるみたい。
でも外壁に面白いものが(写真左下)。
そう、ルーン石碑。「当時は石が足りなくて、ルーン石碑もつかったんだって」とL。
さらにHが補足。「ルーン石碑はキリスト教が入ってくるちょっと前、異教時代のもの。だから異教を取り除いて教会で清めるという意味って聞いたことあるよ」と。
さてToboの駅についたのは23:50ほど。駅と学校を結ぶ途中(写真右下)。
一面、霧に覆われ北西の空に夕焼けが。息を呑む美しさ。
スウェーデンの夏の夜は明るく、冬に見た砂糖をこぼしたような満天の星はもう見られない。



コメント
フィドル
ストックフォルムの音楽博物館にmichikoさんの学校のパンフが置いてあったのですが、そこに載ってた写真の中にウーロフがフィドルを弾いているのが載ってたように思います。あれ?っと思ったけど、顔はウーロフだったように記憶してます。
学校パンフ
あ、そうそう、そうでしたね!
言われて思い出したました。
Kalleと一緒に写っていたような気がします。
その写真は、以前、学校で開催されたコンサートのものではと思います。
(学校で開催というと変な感じですが、National folkmusik centrumでもありますので、夏の間は特にライブイベントがあるので)